PLCエンジニアがつまずきやすい3つのポイントとその対処法

PLC(プログラマブルロジックコントローラ)は、製造現場の自動制御に欠かせない存在です。

しかし、実務に入ると「思っていたより難しい…」と感じることも少なくありません。

特に新人エンジニアや異業種からの転職者がつまずきやすいポイントは共通しています。

この記事では、PLCエンジニアがよく直面する3つのつまずきポイントと、その具体的な対処法を解説します。

ラダー図の読解・設計に戸惑う

つまずきポイント

学校や教材で基本命令は学んだものの、実際のラダー図は複雑で一見して何をしているのかわからない、という声は多いです。特に自己保持やタイマ・カウンタが絡むと混乱しがちです。

対処法

  • パターン認識を鍛える
    よく使われる回路(自己保持・インターロック・フリップフロップなど)を回路パターンとして覚えることで、読解スピードが格段に上がります。
  • コメントの活用
    ラダー図にしっかりとコメントを書く、あるいは既存のコメントを活用して「目的ベース」で読み解く癖をつけましょう。
  • 小さく分解して理解
    ラダー全体を一気に理解しようとせず、ブロック単位やネット単位で機能を分けて読み解くことがコツです。

基本回路のパターン集は以下の記事を参照してください。

基本回路パターン集|タイマ・自己保持・カウンタ・フリップフロップの応用例基本回路パターン集|タイマ・自己保持・カウンタ・フリップフロップの応用例

I/Oや配線ミスによるトラブル

つまずきポイント

ラダー図は正しくても、「出力が動かない」「センサ信号が入ってこない」といったトラブルの原因が、実はI/Oアドレスや配線ミスにあることが非常に多いです。

対処法

  • I/Oリストと実配線の突合チェックを徹底する
    配線図・I/O表・ラダーの3点を照らし合わせて整合性を確認する習慣をつけましょう。
  • 強制ON/OFFで信号確認
    PLCのモニタ機能や強制出力機能を使って、入出力の確認を行うことで配線ミスを早期に発見できます。
  • LEDやテスターで現場確認
    実機の入出力表示灯(LED)やテスターを活用し、現場での信号確認も重要です。

周辺機器・通信との連携に苦戦する

つまずきポイント

インバータやタッチパネル、センサ、他社PLCとの通信など、PLC単体ではなく他機器との連携が求められる場面ではトラブルが頻出します。

プロトコルや配線仕様に慣れていないと対応が難しくなります。

対処法

  • 取扱説明書・マニュアルの精読
    周辺機器の接続には、各社のマニュアル確認が欠かせません。「読んでから試す」が基本です。
  • 通信設定は段階的にテスト
    いきなり本番接続を行わず、ping疎通や1対1通信など段階を踏んだ接続確認がトラブル防止につながります。
  • 事前に対応機種・プロトコルを調査
    通信トラブルの多くは、使用機器間で通信方式が合っていないことが原因です。
    RS-485か?Ethernetか?Modbusか?
    仕様確認が第一歩です。

まとめ

PLCエンジニアがつまずきやすいポイントは、単なるプログラムスキルではなく、現場とのつながりシステム全体の理解に関わる部分が多いです。

以下の3点を意識することで、スムーズな業務遂行が可能になります。

  • ラダー図は「パターン」で読み解く
  • I/Oの整合チェックと現場確認を徹底する
  • 通信や周辺機器は「仕様の把握と段階的接続」

着実に一つずつ経験を積んでいくことで、現場で信頼されるPLCエンジニアへと成長できます。

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しーけん師匠

「しーけん師匠」こと当サイト運営者は、制御エンジニア歴35年以上。三菱電機製シーケンサや産業ネットワークを中心に、現場からIT/OTの連携まで幅広く対応。若手に制御エンジニアの魅力を伝え、業界の活性化と人材不足の解消を目指して情報を発信中。

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