初心者 → 中堅 → 上級の流れと必要スキルを段階的に解説

もくじ
はじめに
製造現場の自動化を支えるPLC(プログラマブルロジックコントローラ)。
その制御設計やトラブル対応を担うPLCエンジニアは、ものづくりの現場を支える要となる職種です。
しかし、PLCエンジニアに必要なスキルは多岐にわたるため、どこから身につけていけばよいか迷う方も多いのではないでしょうか?
本記事では、PLCエンジニアのキャリアステップを「初心者 → 中堅 → 上級」の3段階に分け、それぞれのステージで求められる技術スキル・周辺知識・資格について体系的に解説します。
初心者PLCエンジニア(目安:経験0〜2年)
主な役割
- 先輩エンジニアの補助業務
- ラダー図の読み取りや一部修正
- 制御盤の組立・配線作業の補助
- 動作確認や現場での簡単な作業対応
必要なスキル・知識
- ラダー言語の基礎命令(LD、AND、OUTなど)
- PLCソフトの基本操作(GX Works3、CX-Programmerなど)
- 電気図面の読み方(回路図、結線図)
- センサーやリレー、タイマなど制御機器の基本理解
- 感電防止や絶縁など電気の安全知識
中堅PLCエンジニア(目安:経験2〜5年)
主な役割
- 単独でのPLC設計・改造対応
- HMI(タッチパネル)画面の作成
- 制御仕様書の作成、部品選定
- 現場での試運転・立ち上げのメイン担当
- 顧客とのやり取り、現場調整
必要なスキル・知識
- 応用命令(タイマ、カウンタ、フリップフロップなど)
- I/O割付・HMI画面設計
- シーケンス制御の全体構成と動作フローの理解
- 産業用ネットワーク(Ethernet、RS-485、CC-Link等)の基礎
- トラブル対応・現場判断力
上級PLCエンジニア(目安:経験5年以上)
主な役割
- 大規模・複雑なシステムの制御設計
- 他部署やクライアントとの要件調整・仕様決定
- 若手エンジニアの指導・マネジメント
- 複数装置・ライン全体のトータルコーディネート
必要なスキル・知識
- 複数機器の連携制御(サーボ、ロボット、インバータなど)
- MES・クラウドとの接続(OPC UA、MQTT、SQL連携など)
- IT-OT連携技術(セキュリティ・データ処理)
- ロジックの最適化・汎用化
- 教育・レビュー・プロジェクト管理能力
スキルマップ早見表
スキルカテゴリ | 初心者 | 中堅 | 上級 |
ラダー言語の基礎 | ◎ | ◎ | ◎ |
応用命令(タイマなど) | △ | ◎ | ◎ |
HMI(タッチパネル) | × | ◎ | ◎ |
通信・ネットワーク | × | △ | ◎ |
電気図面の理解 | △ | ◎ | ◎ |
複数装置の連携 | × | △ | ◎ |
ITとの連携 | × | △ | ◎ |
顧客対応・マネジメント | × | △ | ◎ |
スキルアップに役立つ資格と学習方法
シーケンス制御技能士(国家資格)
- 正式名称:シーケンス制御作業
(シーケンス制御技能士は令和5年度(2023年度)から新設された。
以前は「電気機器組立て職種」の「シーケンス制御作業」として実施されていたが、令和5年度より「シーケンス制御職種」として独立) - 厚生労働省が実施する国家技能検定制度
- 等級:3級(初級)・2級(中級)・1級(上級)
- 実技試験あり(ラダー図作成・配線・動作確認など)
- 現場スキルを証明できる実践型の資格として高評価
技能士検定試験については以下を参照してください。

その他おすすめの学習手段
- 第二種電気工事士:基礎電気スキルと安全知識の証明に
- PLCメーカーの講習会やeラーニング:三菱電機、オムロン、キーエンス等
- YouTubeやオンライン講座:実演で学ぶPLC・HMI設計
- 模擬盤や実機演習:制御信号の流れを体感しながら習得
- 社内レビュー・OJT:実務に即したフィードバックで成長加速
まとめ
PLCエンジニアとしてキャリアを積み上げるには、段階的に技術スキル・周辺知識・対応力を身につけていくことが不可欠です。
制御技術に加え、電気・通信・図面・HMI・クラウド連携といった周辺領域の理解も、上級エンジニアへの道を開きます。
国家資格であるシーケンス制御技能士などを活用し、自分のスキルを“見える化”することで、自信と信頼につながります。
あなたのキャリアの未来を、自らの力で切り拓いていきましょう!