クラウド連携とIoT化のはじめ方

はじめに:なぜクラウドとつなぐのか?

近年、工場の設備やPLCからデータを収集し、ラウドに送信・蓄積・分析する動きが活発になっています。

この流れは「スマートファクトリー」「製造業DX」「予知保全」などのキーワードとも深く関連しており、現場のPLCがクラウドとつながることはもはや特別なことではありません。

では、実際に「どうやって始めればよいのか?」

この記事では、クラウド連携とIoT化の第一歩として必要な基礎知識と実践ステップを解説します。

クラウド連携・IoT化とは?

クラウド連携とは、PLCなどの現場装置で取得したデータを、インターネットを介してクラウドサーバに送信し、可視化・分析・活用する仕組みです。

主な目的:

  • 設備の稼働状況をリアルタイムで監視
  • 生産データを蓄積し、異常傾向を分析
  • 設備保全のタイミングを予測(予知保全)
  • 本社や管理部門とデータを共有

ステップ1:PLCからのデータ取得

まずは現場のPLCからセンサ値や制御状態を取得します。

  • 代表的な接続方法:
    • I/O信号(デジタル・アナログ)
    • Modbus RTU/TCP
    • SLMP(MELSEC通信)
  • 機種によっては、三菱電機製シーケンサにEthernetポートやRS-485通信ポートが搭載されており、そこからデータを取り出せます。

ステップ2:データを中継する機器を導入

クラウドと直接やりとりできるPLCもありますが、多くの場合は「ゲートウェイ(中継装置)」を設置してデータ転送を行います。

  • 使用されるゲートウェイの例:
    • SCADAソフトが載った産業用PC
    • IoTゲートウェイ(例:Device Gateway, FlexEdge)
    • Raspberry Piなど軽量エッジデバイス
  • 通信方式:
    • MQTT、HTTP(S)、OPC UA、REST API など

ステップ3:クラウドにデータを送る

クラウドに送信されたデータは、BIツールやWebアプリ、ダッシュボードで可視化・分析できます。

よく使われるクラウドサービス:

  • AWS IoT Core
  • Microsoft Azure IoT Hub
  • Google Cloud IoT
  • MindSphere(三菱やSiemens連携)
  • MotionBoard(可視化特化)

ステップ4:ダッシュボードやアプリで可視化

クラウドに蓄積したデータは、BIツール専用ダッシュボードを通じて、リアルタイムで確認したり、分析したりできます。

  • Grafana、Power BI、Tableau、MotionBoardなどが利用可能
  • スマホやタブレットからの閲覧も容易

よくある導入の失敗と注意点

  • 🔧 現場にITスキルがない:→ 最初は簡易ゲートウェイやノーコードツールを使う
  • 📶 通信環境が整っていない:→ セルラーモデムやローカル保存で対応
  • 📉 何のデータを取ればいいか分からない:→ まずは設備稼働状況・異常フラグから始める

まとめ|まずは小さく始めよう

クラウド連携やIoT化は、小さな実証から始めることが成功のカギです。

  • 最初は1台のPLCと1種類のセンサデータから
  • 導入後に成果が出たら、順次スケールアップ
  • 現場とIT部門の連携が成功の秘訣!

📘 次回は、「IT-OT連携で活躍するエンジニアになるために」について解説します。

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しーけん師匠

「しーけん師匠」こと当サイト運営者は、制御エンジニア歴35年以上。三菱電機製シーケンサや産業ネットワークを中心に、現場からIT/OTの連携まで幅広く対応。若手に制御エンジニアの魅力を伝え、業界の活性化と人材不足の解消を目指して情報を発信中。

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