CC-Link IE TSNとは?次世代産業用ネットワークの仕組みと特徴

はじめに

前回の記事の「CC-Linkファミリー総まとめ編」で各規格を整理しました。

その中でも最近よく耳にするのが CC-Link IE TSN です。

名前は難しそうに聞こえますが、要は「制御用ネットワークと情報ネットワークをまとめて扱える、新しいタイプの産業用ネットワーク」です。

この記事では、現場での使いどころを意識しながら、ポイントをシンプルに紹介します。

CC-Linkファミリー総まとめ|CC-Link, CC-Link IE, Basic, TSNの違いと用途を解説CC-Linkファミリー総まとめ|CC-Link, CC-Link IE, Basic, TSNの違いと用途を解説

TSNとは?

TSN(Time-Sensitive Networking)は、Ethernetを工場でも安心して使えるように改良した仕組みです。

  • 通信が遅れないように順番を管理できる
  • 機械同士の時刻をそろえられる
  • 通信トラブルに強い

この3つがポイントです。
簡単に言えば「普通のLANを、工場での制御に耐えられるように強化したもの」です。

CC-Link IE TSNの概要

CC-Link IE TSNは、従来のCC-Link IEシリーズにTSNを組み合わせた最新規格です。

これまで分かれていた「制御用ネットワーク」と「情報用ネットワーク」を1本のケーブルでまとめられるのが大きな特徴です。
そのため、配線やシステム構成がシンプルになり、管理もしやすくなります。

特徴(現場で感じるメリット)

  • 速い:1Gbps対応なので、カメラ映像やセンサーデータも扱える
  • 正確:時刻同期でモーション制御やロボット制御も安定
  • まとめられる:PLC同士の制御通信と、クラウドへの情報収集を同じネットワークでOK
  • 将来性あり:IoTやAI活用にもスムーズにつながる

どんなところで使える?

  • 高速ラインの制御(タクト短縮が必要な現場)
  • 多関節ロボットやモーション制御(同期動作が重要)
  • 設備の稼働監視や予防保全(クラウド連携を含む)

従来は「制御用」と「情報用」で別々にネットワークを敷いていた現場でも、CC-Link IE TSNならひとつにまとめられるので効率的です。

従来規格との違い(ざっくり比較)

規格特徴使いどころ
CC-Link IE Field高速制御通信制御専用のライン
CC-Link IE Field Basic汎用NICで安価小規模機械や簡易通信
CC-Link IE TSN制御+情報を統合IoT対応のスマート工場

つまり、TSNは「制御も情報も両方やりたいときの選択肢」です。

導入するときの注意点

  • TSN対応機器が必要(PLCやセンサーが対応しているか確認)
  • 既存のネットワークと混ぜて使う場合は、段階的な導入が現実的
  • ネットワーク設計を理解できる人材がいると安心

まとめ

CC-Link IE TSNは、

  • 高速で正確な制御
  • 情報収集との両立
  • 将来のIoT対応

を同時に実現できる、次世代の産業用ネットワークです。

現場の配線やシステム構成をシンプルにしたい、IoT化に備えたいという企業にとって、有力な選択肢になるでしょう。

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しーけん師匠

「しーけん師匠」こと当サイト運営者は、制御エンジニア歴35年以上。三菱電機製シーケンサや産業ネットワークを中心に、現場からIT/OTの連携まで幅広く対応。若手に制御エンジニアの魅力を伝え、業界の活性化と人材不足の解消を目指して情報を発信中。

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