三菱電機製シーケンサ「MELSEC」シリーズの種類と特徴を解説

三菱電機製シーケンサとは?

三菱電機のPLCは、「MELSEC(メルセック)」というブランド名で広く知られており、日本国内でトップクラスの導入実績を誇ります。

工場の自動化、省力化、品質管理といった多様な制御ニーズに応えられるよう、用途に応じた豊富なシリーズが展開されています。

また、開発ツールや技術サポートも充実しており、初心者からプロのエンジニアまで幅広いユーザーに支持されているのも大きな特長です。

MELSECシリーズの種類と特徴

iQ-Rシリーズ(最上位モデル)

iQ-Rシリーズは、処理速度・信頼性・拡張性すべてにおいてトップクラス。

スマートファクトリーやDX対応に適した、三菱のフラッグシップPLCで以下の特徴があります。

  • 高速スキャン処理
  • 冗長CPU、セキュリティ機能搭載可能
  • IoT・AI・クラウド連携に強い
  • CC-Link IE対応

対応ソフト:GX Works3

iQ-Fシリーズ(省スペース・多機能)

iQ-Fシリーズは、従来のFXシリーズの進化版で、コンパクトながら豊富な内蔵機能を搭載。

  • FX5U/FX5UCが中心
  • 小型で高性能、内蔵機能が豊富
  • コストと機能のバランスが良く、教育や試作にも好適

対応ソフト:GX Works3

Qシリーズ(多機能・旧主力モデル)

Qシリーズは、モジュール構成の自由度が高く、現在も多くの現場で稼働中の人気シリーズです。

  • I/O・通信・特殊モジュールが豊富
  • スケーラブルな構成に対応
  • iQ Platformベースで、iQ-Rとの互換性も一部あり

対応ソフト:GX Works2 / 一部GX Developer

Lシリーズ(中規模向け)

Lシリーズは、Qシリーズよりもコンパクトで扱いやすい中規模設備向けPLCです。

  • 電源・CPU・ベースを一体化し省配線モジュール拡張も可能
  • 工場の中規模ラインに適する

対応ソフト:GX Works2

Fシリーズ(小型・一体型)

Fシリーズ(FXシリーズ)は、小型一体型の定番PLC。今でも多くの教育機関や小規模設備で採用されています。

  • FX3U/FX3Gなど
  • 小型・安価で導入しやすい
  • 教育用途にも広く普及

対応ソフト:GX Developer / GX Works2

MELSECシリーズと開発ツールの対応表

MELSECシリーズは、モデルによって使用できる開発ソフトが異なります。

以下の表を参考に、自社環境や目的に合った組み合わせを確認しましょう。

MELSECシリーズ対応する開発ツール備考
iQ-RシリーズGX Works3最新の多機能・高速制御モデルに対応
iQ-Fシリーズ(FX5)GX Works3FX専用機能も統合された次世代ソフト
QシリーズGX Works2 / GX Developer(一部)豊富なモジュール対応。GX Developerは旧版用
LシリーズGX Works2モジュール構成に対応し、実績も豊富
Fシリーズ(FX3など)GX Developer / GX Works2小型・教育用にも最適。保守で活用される

シーケンサ選定のポイント

MELSECシリーズを選ぶ際は、次のような観点が重要です。

  • 制御の規模や処理速度:大規模ならiQ-R、小規模ならiQ-F
  • 設置スペースや価格:コンパクトならFXシリーズやLシリーズ
  • 使いたい通信やI/Oの種類
  • 保守・更新の互換性:既存設備との整合性も考慮

まとめ

三菱電機のMELSECシリーズは、制御対象や設備の規模に応じて多彩なモデルが用意されており、初心者からプロフェッショナルまで安心して使えるラインナップです。

さらに、開発ツールとの連携も明確に分かれており、GX Works3・GX Works2・GX Developerを目的に応じて使い分けることで、開発効率や保守性も高まります。

次は、ラダー図の基本構造と読み方をわかりやすく解説していきます。

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しーけん師匠

「しーけん師匠」こと当サイト運営者は、制御エンジニア歴35年以上。三菱電機製シーケンサや産業ネットワークを中心に、現場からIT/OTの連携まで幅広く対応。若手に制御エンジニアの魅力を伝え、業界の活性化と人材不足の解消を目指して情報を発信中。

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