インターロックとは?|ラダーでの組み方と安全設計の基本

機械制御や生産設備の設計において、安全性と信頼性を確保するために欠かせないのがインターロック(Interlock)です。本記事では、インターロックの基本概念から、ラダープログラムでの実装方法、設計時の注意点までを解説します。

インターロックとは?

インターロックとは、ある動作を行う前に「特定の条件を満たしているか」を確認し、安全が確保されていなければ動作を禁止する仕組みのことです。

目的と役割

  • 人や機械の安全確保
    危険な状態で機械が動作するのを防ぐ
  • 誤動作の防止
    順序を守らない操作や、想定外の信号をブロック
  • 設備の破損防止
    同時に動かしてはいけない機器を排他的に制御する

インターロックの種類

種類説明
安全インターロックドアが開いているときは機械が動作しない作業者の安全を守る
動作インターロック加熱終了後でないと搬送機が動かない工程順序を守る
相互インターロックモータAが動いている間はモータBを動かさない同時動作を防ぐ

ラダーでのインターロック回路の基本構成

ラダー図でのインターロックは、条件付きで出力を許可しない構造として組まれます。以下に基本例を紹介します。

例①:安全スイッチによるインターロック

LD     X0        ; スタートスイッチ

AND    X1        ; 安全スイッチ(閉じている=安全)

OUT    Y0        ; モータON

例②:相互インターロック(モータAとB)

モータAの起動条件(モータBが動作していないとき)

LD     X0        ; Aスタート

ANI   M1        ; モータBが停止中

OUT    M0        ; モータA接点

モータBの起動条件(モータAが動作していないとき)

LD     X1

ANI   M0

OUT    M1

このように、ANI(NOT付き条件)を使って「相手が動いていないときのみONにできる」排他動作を実現します。

設計時の注意点

① 信頼できる入力を使う

安全インターロックには、安全スイッチやドアスイッチなど、物理的に確実な状態を検出できるセンサを使用するのが原則です。

② 異常状態を想定する

・非常停止中に誤って再起動しないか?
・インターロック信号が断線した場合はどうなるか?
フェールセーフ設計が重要です。

③ 保守性を考慮する

・現場でトラブルが起きたときに、どのインターロックが原因か分かりやすくするため、ランプ表示やモニタ用M接点なども併用すると効果的です。

実務での活用ポイント

  • ラダーでの自己保持回路と組み合わせて、動作継続と停止条件を管理
  • タイマやカウンタと併用して、一定時間後に強制停止する設計も可能
  • 大型装置では、多重インターロック(2〜3条件以上のチェック)を組むことも

まとめ

インターロックは「制御の安全性を高める仕組み」であり、ラダー回路の基本中の基本とも言えます。単なる条件分岐ではなく、「人命と設備を守る仕掛け」として設計する意識が重要です。

現場で起こり得るあらゆる誤操作・異常状態を想定し、確実に止める/動かさないためのインターロック設計を心がけましょう。

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しーけん師匠

「しーけん師匠」こと当サイト運営者は、制御エンジニア歴35年以上。三菱電機製シーケンサや産業ネットワークを中心に、現場からIT/OTの連携まで幅広く対応。若手に制御エンジニアの魅力を伝え、業界の活性化と人材不足の解消を目指して情報を発信中。

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