PLCプログラミングといえばラダー(LD)が主流ですが、三菱シーケンサ(GX Works3対応)ではFBD(Function Block Diagram)と呼ばれる視覚的なプログラミング言語も使用できます。
本記事では、FBDの基本概念と、どんな場面で使うと効果的なのか、そしてGX Works3での使い方までを紹介します。
もくじ
FBD(Function Block Diagram)とは?

FBDは、IEC 61131-3で定義されているPLC標準言語のひとつで、「機能ブロック(Function Block)」を図としてつなぎ合わせて制御ロジックを組み立てる手法です。
ラダーが「電気回路」に近いのに対して、FBDは「信号処理や制御の流れ」を視覚的に整理できるという特徴があります。
FBDはどんな場面で使うのか?
FBDが特に効果を発揮するのは、以下のような処理です。
- タイマやカウンタを組み合わせる制御
- 比較演算・計算処理
- アナログ信号の処理やPID制御
- 論理構造が複雑でラダーでは読みにくい場合
こうした処理はラダーでも記述可能ですが、FBDを使うことで信号の流れや処理の構造が視覚的に把握しやすくなります。
GX Works3でFBDを使うには?
三菱電機のGX Works3では、プロジェクトごとにプログラム言語を選択できます。FBDを使う手順は次の通りです。
① 新規プログラムの作成
- プロジェクト内で「プログラムの追加」を選び、「FBD」を指定
② ブロックの配置
- タイマ(TON)や論理ブロック(AND、OR)、比較ブロック(CMP)などをドラッグ&ドロップ
③ 入出力の接続
- 入力デバイス(X0など)や出力デバイス(Y0など)をブロックの端子に接続
- 内部メモリ(M、D)も自由に利用可能
④ 構文チェックと書き込み
- コンパイルしてエラーがないことを確認
- 実機またはシミュレータに転送して動作確認
FBDとラダーの違い
| 項目 | ラダー(LD) | FBD |
| 表現形式 | 電気回路に近い | 信号の流れ図 |
| 読みやすさ | 単純な処理に向く | 複雑な処理の可視化に強い |
| 開発効率 | 慣れれば早い | ブロック構造で整理しやすい |
| 三菱対応 | GX Works2, 3で対応 | GX Works3のみ対応(iQ-R, iQ-F向け) |
まとめ:FBDは「複雑な処理を見える化」したいときの選択肢
FBDはラダーの代替ではなく、処理の複雑度や用途に応じた「適材適所」の選択肢です。
特にGX Works3を使った設計では、FBDを併用することで保守性や設計効率が向上します。
今後はラダーだけでなく、ブロックで考えるFBDスタイルも視野に入れておくと、PLCエンジニアとしての引き出しが広がるでしょう。